座標系パラメータ
座標系は2次元または3次元における点の位置を示します。 座標系は、曲面(地球)からの測定を平面(地図や平面図)に変換します。 座標系に最低限必要なのは、一つの地図投影と一つの測地系です。
地図投影は、楕円形表面上の位置を平面や地図上の位置に変換したり、数学的モデルを使用して変換したりします。横メルカトールとランバートは頻繁に使用される地図投影方法です。
地図投影上の位置は通常「グリッド座標」と呼ばれます。Trimble Accessはこれを短縮して「グリッド」と呼びます。
地球の表面は数学的に作成することはできないので、特定の地域を最適に象徴するために局所的楕円体(数学的面)が導出されました。こういった楕円体は時にはローカル測地と参照されることもあります。NAD‑83やGRS‑80、AGD‑66はローカル測地の例です。NAD 1983、GRS‑80、およびAGD‑66はローカル測地の例です。
GNSS RTK測定(単独基準局およびVRS)は、ジョブ内で定義されたグローバル基準測地系を基準とします。ただし、大部分の測量タスクの場合において、ローカル座標系で示される結果を表示・保存する方が有益です。測量を始める前に、座標系とゾーンを決定します。測量の必要性に従って、国内座標系またはローカル座標グリッドシステム、ローカル測地座標として結果が示されるように選択できます。
地図投影とローカル測地系に加え、GNSS測量のローカル座標系は以下から成っています:
- 測地系変換
- サイトキャリブレーション後に計算された水平調整と鉛直調整
全世界座標が、測地系変換を使用してローカル楕円体に変換されると、ローカル測地座標になります。ローカル測地座標は地図投影を使用してローカルグリッド座標に変換されます。結果は、ローカルグリッド上の北距と東距座標です。水平調整が定義される場合には、垂直調整の後に適用されます。
ポイントのキー入力時、またはジョブのレビューやポイントマネージャでのポイント詳細表示の際に、表示する座標を変更することができます。座標表示フィールドで、ローカル測地座標を表示するにはローカルを選択します。ローカルグリッド座標を表示するにはグリッドを選択します。座標表示設定を参照してください。
ローカルグリッド座標で示されるリアルタイム測量を行う場合には、その測量を開始する前に、測地系変換と地図投影を定義します。
ローカル座標系で測量するには、全世界座標内のGNSS位置はまず、測地系変換を使用してローカル楕円体に転換されなければなりません。多くの新しい座標系については、グローバル基準測地系とローカル測地系は同等です。NAD 1983とGDA2020がその例です。これらのケースでは、グローバル基準測地系とローカル測地系との間の変換は「ゼロ」です。古い測地系では、グローバル基準測地系とローカル測地系との間で測地系の変換が必要な場合があります。
測地系変換には3つのタイプがサポートされます:
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3パラメータ ― 3パラメータ変換は、 Xと Y、Zの3つの単純な変換に関与します。Trimble Accessが使用する3パラメータ変換は、 モロデンスキー(Molodensky)変換なので、楕円体の半径や扁平率に変更が生じることもあります。
- 7パラメータ – これは、一番複雑な変換です。それには、縮尺係数だけでなく、Xと Y、Zの変換 かつ 回転が適用されます。
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測地系グリッド – これは、標準測地系移動のグリッドされたデータセットを使用します。補間によって、それはそのグリッド上のあらゆるポイントの測地系変換に対する推定値を提供します。測地グリッドの精度は、それが使用するグリッドされたデータセットの精度に左右されます。
測地グリッド変換は、測地グリッドファイルが含むエリア内のあらゆるポイントにおける測地系変換の値を予測する補間方法を使用します。この補間を行うのに2つのグリッドされた測地系ファイル(緯度測地グリッドファイルと経度測地グリッドファイル)が必要です。Trimble Business Centerを使用して測地グリッドをエクスポートする場合には、現在のプロジェクトに関係する2つの測地グリッドファイルは、 Trimble Access ソフトウェアでの使用のために1つのファイルに結合されます。
Canadian NTv2 測地系グリッドを使用する場合、データは受信された状態のままとなりますのでご注意ください。カナダ天然資源省(NRCan)は、提供するデータに関する保証、説明などは一切行いません。
キャリブレーションは、ローカル基準に適合するように投影(グリッド)座標を調整する作業です。キャリブレーションは、全世界座標をローカル グリッド座標(NEE)に変換するためのパラメータを計算します。
以下を行う前に、キャリブレーションを計算し適用する必要があります。
- ポイントの杭打ち
- オフセットや交会点を算出
プロジェクトを、そして測量をリアルタイムでキャリブレートする場合には、一般測量 ソフトウェアは ローカル座標系と基準点に基づいたリアルタイム解を提供します。
新しいジョブが過去のジョブの当初のキャリブレーションに完全に包囲されている場合には、そのキャリブレーションを再利用できます。新しいジョブの一部が当初のプロジェクトエリア外に位置する場合には、未知のエリアを含めるために追加の基準点を導入します。こういった新しいポイントを測量して、新しいキャリブレーションを算出してから、ジョブのキャリブレーションとしてこれを使用します。
現存するジョブから新しいジョブにキャリブレーションをコピーするには、現在のジョブとして既存のジョブを選択してから、テンプレートフィールドで新規ジョブを作成し、前回使用したジョブを選択します。もしくは、ジョブ間でコピー機能を使用し、一つのジョブから別のジョブへキャリブレーションをコピーします。
公表された測地系変換パラメータが使用される場合には、ローカル基準座標とGNSSから派生した座標の間にわずかな不一致が存在することがあります。こういった不一致は、簡単な調整によって小さくできます。Trimble Access座標系のジョブ用設定が投影および測地系変換を含むものである場合、現場キャリブレーション機能を使用する際には、はこれらの調節を計算します。これは水平・垂直調整と呼ばれます。
必要な場合には、鉛直調節計算の一部としてジオイドモデルファイルを使用できます。
Trimbleでは、ジオイドモデルを使用し、楕円体ではなく、GNSS測定から正確な精密海抜高を求めることをお勧めします。必要に応じてサイトキャリブレーションを実行し、定数によってジオイドモデルを調整することができます。
ジオイドとは、平均海面高に近づけた不変重力ポテンシャルの面です。 ジオイドモデルまたはジオイドグリッドファイル(.ggfファイル)は、標高の予測値を提供するためにGNSS楕円体高観測と一緒に使用されるジオイド・楕円体分割の表です。
ジオイド・楕円体分割値(N)はジオイドモデルから得ることができ、特定のポイントの楕円体高(H)から引き算します。 そのポイントの平均海面高(ジオイド)上の標高(h)が結果です。 これは下の図に示されています。
正 | 地表 |
2 | ジオイド |
3 | 楕円体 |
ジオイドモデルを垂直調整タイプとして選択すると、 ソフトウェアは、スクリーン上で標高を表示するために、選択したジオイドファイルからのジオイド・楕円体分割を使用します。
鉛直調整にジオイドモデルを使用する利点は、標高ベンチマークでキャリブレートをする必要なく標高を表示できることです。これは、ローカル基準点やベンチマークが有効でない時に便利です。それは楕円体上でなく「地表で」作業できるようにしてくれます。
有効な受信契約がある場合、またはコントローラに有効なTrimble Access Software Maintenance Agreementがあり、コントローラがインターネットに接続されている場合は、必要に応じて、座標系の選択画面でジオイドモデルスイッチと測地系グリッドスイッチを有効にします。座標系の選択画面で保存をタップすると、選択した座標系の最新のファイルがコントローラに自動的にダウンロードされます。それ以外の場合は、必要なファイルをコントローラのTrimble Data/System Filesフォルダにコピーしてから、使用するファイルを選択する必要があります。